明日試験なのになぁ

民事訴訟法の勉強に付き合わされた・・・・・

以下、問題
前訴
原告X 被告Y
X→Y
所有権に基づく返還請求権として甲建物明渡請求
請求原因
1 A元所有
2 X相続
3 Y占有
抗弁 占有権限
1 甲建物賃貸借合意
 a賃料
b返還時期
2 1に基づく甲土地引渡し

で、請求棄却


後訴
賃貸借契約は終了したので再び
X→Y 所有権に基づく返還請求権として甲建物明渡請求
請求原因
 同じ
抗弁
 同じ
再抗弁
 賃貸借契約契約解除
以下続く


これは、前訴の既判力で遮断されないか?*1
仮に再抗弁以下の事実が出た場合は、新事由があることが裁判所からわかる。
しかし、たとえば訴状しか出されない段階で、被告が欠席した場合、あるいは、既判力の遮断効の主張しかしない場合
既判力は職権調査事項なので、この場合に前訴の既判力の遮断効が及ぶとすると、請求が棄却され、欠席判決で勝訴判決がもらえないことになる。
本当に勝てないのか?が問題。


既判力の遮断効は、前訴の訴訟物の有無の判断を覆す理由として、前訴の口頭弁論終結時までの事情を主張することができなくなるわけだが、賃貸借契約終了というのは、明らかに新事由なわけで、遮断効は本来及ばないと考えるべきであるはず。
しかし、これが要件事実的には請求原因に現れないので、訴状段階では新事由がないように見える。
この要件事実論の束縛で妥当でない結論にいたっていいのか?


説1 別訴訟物だから、既判力の遮断効は及ばない
既判力によって遮断されるのは、前訴の事実審の口頭弁論終結時までの所有権に基づく明渡請求権
所有権というのは断続的に成立していると考え、後訴の明渡請求権は、後訴の事実審の口頭弁論終結時の所有権に基づく
明渡請求権であると考える。
請求原因の見た目は同じだが、実質的には別請求原因であり、別訴訟物である。


この考えだと、必然的に占有も後訴の事実審の口頭弁論終結時の占有が請求原因として主張することになるので、結局この占有は前訴の既判力で遮断されない新事由になる。


問題点
この考えだと、結局物権的明渡請求は既判力で遮断されないことになる。
そうすると理論的には、賃貸借契約の終了といった、明らかな新事由がなくても、請求が棄却されるたびに訴えを起こせることになる。
したがって、被告の応訴の負担が尋常でない。


解決法として、訴権濫用論や、信義則で明らかに妥当でない場合は制限をすることになる。
ある意味妥当な解決?


説2 訴状の請求原因の記載を変更することによって、新事由による物権的請求であることを裁判所に印象づける
請求原因のうち、被告の占有の部分の主張を変える
前訴では単なる被告の占有だが
後訴においては、被告の占有権限なき不法占有であると訴状に書く。
その理由として賃貸借契約の終了を書く。
再抗弁を先に訴状段階でもってくるということ。
要件事実の主張整理では、請求原因→抗弁→再抗弁→再々抗弁→・・・・
となるけど、別にこの通り訴状→答弁書→・・・・と分担しなければならないわけではない。
だから、再抗弁事実(の一部?)を最初にもってくることで、新事由の存在を主張することになり
そうすれば、既判力の遮断効は及ばない、という裁判所へのアピールになる。

説2.1
実際にはそれだけの意味しかなくて、理論的には請求原因自体が変容しているわけではないと思われる。
そうすると、請求原因に変わりがない以上、訴訟物は変わらないが、前訴の口頭弁論の終結時後の事情である賃貸借契約の終了の主張は既判力によって遮断されないので、この再抗弁が認められば、原告が勝訴できることになる。


では、たとえば被告が欠席した場合に、裁判所が訴状だけを読んだ段階で、既判力の遮断効を職権で働かせて、棄却とはならなくなるか?
その場合には、訴状段階で賃貸借契約の終了原因の要件事実は不足なく書いておかないといけないか?
抗弁の主張が被告からないわけであるが、新事由としての賃貸貸借契約終了の主張の要件事実が不足する場合に、新事由の主張が不十分だとして、主張自体失当として棄却されないか。
あるいは、抗弁がないので、新事由に基づく主張であることさえわかれば、請求原因の主張だけあればそれで足りるのか?


説2.2
請求原因自体が変容すると考える。
前訴の占有と、後訴の不法占有は別の占有であって、訴訟物が変わる
→既判力は及ばない
で説1と同じような結論に至る。


実はもう一問あるが、これはそのうち

*1:債権的請求として、賃貸借契約終了に基づく原状回復請求権として明渡請求すればいいじゃんというのは問題にならないから却下