行政法基本用語百選

著作権的に大丈夫なのか?不安なのですが、行政法の択一対策としてO先生に教授されたものをアップしたいと思います。


O先生が僕らに求めた択一対策は、1基本用語、2条文、3判例の三つをこなすことでした。
まあ、抽象的には当たり前ですけど、具体的にはどうするかが問題です。
O先生は習得すべき基本用語、参照すべき条文を具体的にあげてくれたので、それをあげようと思います。
ちなみに判例は百選は古くて使えないものが多いので、ケースブックをやれ、ということでした。最高裁のだけ*1とりあえずつぶせば択一的にはOKだそうです。
高得点のためには裁判例をつぶす必要もあるでしょうし、基本用語の具体例で結構裁判例もでてくるので、結局読むことにはなるのですが。


というわけで今日は、行政法の基本用語百選です。百選なのでもちろん100個以上あります。


O先生曰く、「定義を憶えることよりも、用語を的確に使えることが重要。」と。
したがって、定義と具体例*2を両方習得する必要があります。


実は定義・具体例集もあるのですが、こちらは自分ひとりで作ったものではないのと、基本書等からの抜き出しなのでアップできません*3
参考ページだけアップしておきますが、多人数でやった上に皆が使っている基本書がバラバラなので参考書がバラバラで使いづらいです。また実際にそのページがあっているかチェックしきったわけではないので間違いがあるかもしれません。中には塩野や宇賀なのに1なのか2なのか(3なのか)書かない人とかもいたし、間違っているかもしれませんが、まあ結局は自分の基本書で引いてみるわけだからそんなに重要ではなかろう、ということでテキトーでいいことに自分でしちゃいます。すいません。


法律学小事典(第4版補訂版)、法律用語辞典(第3版)を参照したものはページ数がありません。
原田は全訂第6版
塩野1は第4版
塩野2は第4版
宇賀1は第2版
宇賀2は初版
櫻井=橋本は初版
のページ数となっていますから、塩野1、宇賀1、櫻井=橋本については2009年8月現在で版がひとつ古いことに注意してください。


現在は芝池『行政法読本』あたりも参考書として使いやすいのではないか、という気がします。
櫻井=橋本は不正確なところというか情報が細切れにされているところがあって誤解を生みやすい印象を受けたので、通しの一冊がほしくて、藤田の入門では薄すぎ、原田はちょっと古いな、という人は行政法読本のほうがいいような気がします。僕は通し一冊は原田でしたが。


なお、国家賠償法の部分(111〜)は基本的には宇賀2以外では不十分だと思います。
宇賀1は論文集的な印象で使いずらいと僕は思うのですが、2は非常にわかりやすく、僕は原田→塩野派ですが*4国家賠償法の部分だけは宇賀*5を使ってました。


行政法の基本用語100(これを使いこなせれば、あなたもエキスパート!)

  • <基礎理論・行政組織>

1法の支配と法治国家
 原田p81、82、86
2法律による行政の原理
 原田p82、法律用語辞典
3法律の留保
 原田p88
4公序(民法90条
 法律用語辞典、川井健『民法概論1民法総則』p141
5信義則(信頼保護の原則、禁反言の原則)
 櫻井・橋本「行政法」26頁
6平等原則
 櫻井・橋本27頁、宇賀1-49頁
7比例原則
 櫻井・橋本27頁
8不確定法概念の司法審査
 宇賀1-285頁
9行政庁
 宇賀1-2頁、原田53頁
10諮問機関と参与機関
 原田53頁、宇賀1-178頁
11条例制定権の範囲
 宇賀・地方自治法概説134頁、芦辺第3版339頁
12法定受託事務
 宇賀1-9頁、原田74頁

  • <行政作用>

13法規命令と行政規則
 塩野1p85
14委任立法の限界
 宇賀1p240
15白紙委任の禁止
 宇賀1p241、櫻井=橋本p62
16告示
 宇賀1p7
17行政処分と行政行為
 東條武治『演習ノート 行政法』18−19頁、原田376頁
18一般処分
 法律学小事典
19許可
 原田171頁
20公企業の特許
 塩野1-106頁
21認可
 櫻井=橋本p76
22届出制
 塩野1p285、櫻井=橋本p208
23(行政処分の)公定力
 櫻井=橋本p84、塩野1p135
24(行政処分の)不可争力
 塩野1p138
25(行政処分の)不可変更力
 櫻井=橋本p92
26(行政処分の)付款
 櫻井=橋本p101-103
27事実行為
 櫻井=橋本p130,150,267 etc
28公権力的事実行為
 塩野1p107、櫻井=橋本p175,183
29瑕疵の治癒
 塩野1pp.150 f. 原田p.191
30取り消しうる行政処分と無効な行政処分
 塩野1pp.145 ff. 原田p.182
31重大かつ明白な瑕疵(重大明白説)
 塩野1pp.147 f. 原田pp.183 ff.
32(行政処分の)撤回
 塩野1pp.158 f. 原田pp.192 f.
33取消権の制限と撤回権の制限
 櫻井=橋本p99、原田p192
34覊束裁量(⇔自由裁量)
 櫻井=橋本p106、原田p152、法律学小事典
35要件裁量と効果裁量
 櫻井=橋本p108、原田p150、芝池『行政法総論講義』p72
36行政裁量の逸脱(踰越)・濫用
 櫻井=橋本p115〜、原田p154
37裁量権の消極的濫用論
 最判平成元年11月24日の調査官解説419頁
38裁量収縮論
 最判平成元年11月24日の調査官解説419頁
39逸脱濫用型審査・判断過程統制型審査・判断代置型審査
 宇賀1-288頁、宇賀1-290頁、阿部泰隆『行政裁量と行政救済』26頁
40他事考慮の禁止
 北村和生『行政法の基本【第二版】』158頁
41要考慮事項の考慮義務
 宇賀1-290頁
42行政指導
 行手法2条6号
43要綱行政
 宇賀1-344頁

  • <行政手続>

44告知(理由付記)と聴聞
 法律用語辞典、行手法13条1項
45審査基準と処分基準
 行政手続法2条8号ロ、5条、行政手続法2条8号ハ、12条、宇賀1-369頁、381頁
46標準処理期間
 行政手続法6条、宇賀1-371〜372頁
47不利益処分
 行政手続法2条4号、宇賀1-280頁
48聴聞手続と弁明手続
 行政手続法19条、20条、行政手続法29条、宇賀1-384頁
49受理
 行政手続法7条、37条、宇賀1P372
50意見公募手続
 行政手続法39条1項、宇賀1P.390〜
51行政指導指針
 行政手続法2条8号ニ、宇賀1P.359

  • <行政上の手段・制度>

52行政調査
 宇賀1P.136〜
53間接強制調査
 原田248頁
54課徴金
 原田238頁
55行政上の秩序罰
 原田237頁
56行政代執行
 原田226
57強制徴収
 法律学小辞典
58行政罰
 櫻井・橋本 P187、190
59即時強制と直接強制
 法律学小事典

  • <行政争訟一般>

60主観訴訟と客観訴訟
 原田p357
61概括主義と列記主義(列挙主義)
 原田p322
62苦情処理
 原田p316、櫻井・橋本p239
63審査請求
 原田p323
64公権力の行使(行政事件訴訟法国家賠償法
 櫻井・橋本p264、265
 櫻井・橋本p356、原田p285
65裁決
 法律学用語辞典、宇賀2-63頁
66不利益変更の禁止
 法律学用語辞典
67教示制度(行政不服審査法行政事件訴訟法
 櫻井橋本237頁、法律学用語辞典、宇賀2-138頁 
68法律上の争訟
 裁判所法3条、宇賀2-97頁
69紛争の成熟性
 櫻井橋本270頁

  • <行政事件訴訟>

70抗告訴訟
 行訴法3条1項、原田357頁
71取消訴訟
 原田357頁
72処分性
 原田376頁、ケースブック11-4
73取消訴訟の排他的管轄
 宇賀1−295頁、原田143頁
74不服申立て前置主義
 行手法8条1項但書、宇賀1−298頁
75原告適格
 行訴法9条、宇賀2p163、170
76法律上の利益と反射的利益論
 宇賀2p381、「行政救済法講義」芝池p43
77訴えの利益(狭義)
 宇賀2p180、「行政救済法講義」芝池p56
78取消事由の制限
 行訴法10条1項、「行政救済法講義」芝池p77
79原処分主義
 行訴法10条2項、宇賀2p121、「行政救済法講義」芝池p78
80被告適格
 行訴法11条、38条1項、43条1項・2項、桜井昭平『演習ノート 行政法』122-123頁
81特定管轄裁判所
 行訴法12条3項、桜井昭平『演習ノート 行政法』124-125頁
82出訴期間
 桜井昭平『演習ノート 行政法』126-127頁、原田396頁
83訴訟参加(行政庁、第三者)
 原田409頁
84違法性の承継
 原田187頁
85違法判断の基準時
 櫻井・橋本p293
86釈明処分の特則
 行訴法23条の2第1項、2項、櫻井・橋本p299
87職権証拠調べ
 行訴法24条・38条1項、法律学小辞典
88執行不停止原則と執行停止制度
 行訴法25条、行訴法44条、櫻井・橋本p309、310
89内閣総理大臣の異議
 行訴法27条1項、2項、原田p416、櫻井・橋本p315
90取消判決の第三者
 行訴法32条、塩野2p163
91(取消判決の)相対的効力説と絶対的効力説
 塩野2p164
92拘束力(判決の)
 行訴法33条、櫻井・橋本p307
93事情判決(と事情裁決)
 行訴法31条1項、行政不服審査法40条6項、櫻井・橋本p303
94無効等確認訴訟
 行訴法3条4項、櫻井・橋本p317
95不作為の違法確認訴訟
 行訴法3条5項、櫻井・橋本p321
96義務づけ訴訟(申請満足型、直接型)
 行訴法3条6項、櫻井・橋本p324
97差し止め訴訟(抗告訴訟民事訴訟
 行訴法3条7項、櫻井・橋本p334
98仮の義務づけ・仮の差し止め
 行訴法37条の5、櫻井・橋本p339
99法定外抗告訴訟(無名抗告訴訟
 塩野2p226
100当事者訴訟(形式的、実質的)
 行訴法4条前段、後段、原田pp.374 ff. 塩野2p.232、塩野2p.235、櫻井・橋本p345、p346
101公法上の確認訴訟
 行訴法4条後段、塩野2p.237、櫻井・橋本p346、p347
102機関訴訟
 行訴法6条、原田p.377、塩野2p.248 f. 櫻井・橋本p256
103民衆訴訟
 行訴法5条、原田p.377、塩野2pp.243 ff. 櫻井・橋本p255
104住民監査請求と住民訴訟
 地方自治法242条、原田p.431、行訴法5条、地方自治法242条の2、原田p.432、櫻井・橋本p255
105争点訴訟
 原田361頁

  • <国家補償一般>

106損失補償と国家賠償
 法学教室306号10頁、原田262頁、塩野2279頁、原田283頁
107結果責任
 法学教室306号30頁
108特別の犠牲
 百選2-252事件・岡田評釈
109正当な補償
 塩野2-334頁
110完全補償説と相対補償説
 宇賀2P.436〜

  • <国家賠償>

111国の自己責任説と代位責任説
 宇賀2P.355
112外形主義(外形標準説)
 宇賀2P.361〜
113結果違法説
 宇賀2P.366〜
114結果不法説と行為不法説
 宇賀2P.364
115違法性相対説(違法性二元説)
 遠藤博也『実定行政法』272頁以下
116違法性一元説
 北村和生「国家賠償における違法と過失」78頁
117職務行為基準説
 塩野2-290頁
118規制権限不行使の責任(不作為責任)
 原田293頁
119組織的過失
 原田P274
120求償権
 法律学小辞典、櫻井・橋本P378
121公の営造物
 櫻井・橋本P370
122公物(人工公物、自然公物)
 櫻井・橋本P34、法律学小辞典
123過渡的安全性
 塩野2-305〜307頁
124本来の用法論
 塩野2-308頁、原田300頁
125供用関連瑕疵
 塩野2-308頁、原田301頁
126相互保証主義
 原田310頁

*1:つまり判例だけ

*2:現実の条文・制度だったり実際の判例・裁判例だったり

*3:また多人数なので出来にばらつきがあり、手直しがかなり必要でアップするほどのものでもないだろう、という気がします。

*4:まあ塩野先生の本がわかりやすいか、というと別にそうでもないのですが

*5:宇賀先生のように丁寧には書いてませんが、高木光=櫻井敬子=常岡孝好=橋本博之『行政救済法』弘文堂も違法相対説、違法二元説のあたりはそこそこわかりやすかったです。