コメントお返し

初めて外部の方からコメントをいただいたので、レスをしようと思ったのですが、あまりにもながくなったのでここに書きます。

blog界では、トラックバックにはトラックバックを返す風習もあるそうですか、初トラックバックにもやっぱりトラックバックを返したほうがいいのでしょうかねぇ。
コメントにレスをするのと違って、あまり意味を感じないのですが。blogを広める気がないからでしょうかね。

  • まずgachapinfanさんへ。

参考URLありがとうございました。


食い違う記述があることについての、僕の見解を一応述べます。
こんなこといわれなくても知っている!という場合はすいません。読み流してください。
僕が、「雑学」のカテゴリで書いていることは、僕自身が自分の知識ですとか、考えを整理するために使っている面が結構大きいので。


離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
この場合の離婚原因とは裁判離婚の原因、すなわち、相手が最後まで反対し続けても裁判で強制的に離婚できる理由に当たると思います。
民法770条1項によると

第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

となりますここで問題となるのは、五つ目のその他の重大の事由です。
これが、もっとも意味が抽象的なため何が重大な事由といえるか?で裁判の争点となりえるわけです。

日本の裁判所は、婚姻に関してはゆるくても、離婚に関して結構厳しいらしく、破綻主義をとる欧州とはちがって、長らく実際の夫婦生活が破綻していても離婚をなかなか認めなかったそうです。その他の重大な事由にあたると認定することがなかなか無かったんですね。
おそらく結婚に対する考え方が、夫婦間個人個人のものでなく、家と家の関わりであるという日本の考え方が影響していたのだと思われますが。
意識の変化に伴ってか、最近はゆるくなりつつあるようです。


ところで、それぞれの主張の食い違いについてですが、それは日本の裁判の体系の問題があります。問題というか、単に特徴とでもいうべきでしょうか。
知ってのとおり日本の裁判所は、最高裁、高裁、地裁、家裁、簡裁があります。
格付けとしては最高裁>高裁>地裁>家裁、簡裁です。
三審制を取る日本において、離婚訴訟の第一審はかつては地裁扱いだったのですが、今では家裁が第一審です。
それはおいておいて、ある訴訟が地裁を一審として起きまして、それが最高裁まで行きますと、通常は*1地裁の判決、高裁の判決、最高裁の判決が存在するわけです。

そして、過去の同じような事件の判決のことを判例、といいます*2
通常は判例に従って、判決を下します。また、一般的には最高裁が下した判断すなわち判例に、下級裁判所は追従します。
しかし、判例の拘束力は絶対というわけではありません。
同一事件の場合は必ず最高裁の判断に従わなければなりませんが、同様の事件の場合は必ずしもそうではありません。
同様であっても、事情が違う部分があることが普通ですので、その違う事情を加味するため、判例に従わないことがありえます。
また、時代の変化に合わせて、同じ状況でも、違う結論を下すこともあります。
最高裁は時に以前の判例を時代の変化に合わせて変更する、判例変更というのを行うぐらいです。

また、上級審は下級審の裁判例を参考にすることはあっても縛られることはないので、例えば妻が不妊症なので離婚したいという訴訟が起こったとします。
一審で離婚すべしという判決が下ったとして、それを妻側が上訴しなければそれで確定します。
その場合、高裁や最高裁*3はその事件について判断を下さないわけです。
よって、そのような場合、離婚が認められた(裁)判例があるといっても、上級裁判所で逆の結論がでる可能性があります。

よって、ある訴訟で、不妊の場合は離婚できる、という判例があったからとしても必ずしも同じ結論がいつもでるとは限らないのです。
民法770条2項は

2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

となっており、1号から4号からの事由があっても離婚が認められないことがあり、さらに、ある判例で5号の重大事由とみとめられたことが、別の訴訟では他の事情も加味した結果、5号の重大事由にあたるとはいえないという結論が下されることも十分ありえるわけです。
そんな複雑なことを考えなくても、wikiの記述がいい加減な可能性もありますし、紹介いただいたページの記述が間違っているというか誇張して書かれている可能性も、勿論ありますけどね。


最高裁判例がでて、なおかつ、下級審がそれに従うように固まってきて初めて、一般的な重大事由といえるようになるのでしょう。
靖国問題が合憲が違憲かで裁判所の判断が割れていて、いっこうに判断が確定しないのものも似たような事情です。あれはさらに訴訟適格と傍論、および権力分立の事情もありますが。


判例についての一般論としてはwiki判例 - Wikipediaをどうぞ。
wikiは時々間違っていますので、内容にはすこし怪しい部分もありますが、一般論としては間違っていないです。



  • Est* さんへ。

もとのページがワードファイルなのが非常に残念ですが

2008年3月21日・要望によりリンク部分削除
↑のページが、レスのためにレディースデイについてググっていたらひっかかりました。早稲田の法学部生の研究であるようですが、非常に丁寧に書かれています。
ちなみに知る人ぞ知る、水島朝穂ゼミ生のようです。さらにちなみに特別出演の浅倉むつ子教授は労働法とジェンダーの専門家です。講座が人気でとれないんですよね。
長いですけど、とても興味深いのでぜひ読んでみてください。

真ん中ほどにあるアンケート回答抜粋のコメントが特にオススメです。
2008年3月21日・要望によりアンケート部分削除


2008年3月21日・要望によりアンケート部分削除


ちなみに僕の本名知っている皆さん。
2008年3月21日・要望によりアンケート部分削除

このコメント、似たようなことを書いていて、僕とイニシャルが同一ですが、僕ではありません。まあ僕は法学部じゃないし、わかっていると思いますが。
しかし、やっぱり似たようなこと考える人はいるんですねぇ。
僕はここまでの意見はもっていないですけどね。
飲み代の差などは、むしろ僕の「平等」へのスタンスに関わってくることなので、彼とは立場を異にしますし。


そうそう、平等について次回はふれたいと僕が書きましたが
2008年3月21日・要望によりアンケート部分削除

この方の回答は、僕の平等に関する考え方とほとんど一緒です。差別と区別の違いについてと平等について書こうと思っていたのです。
平等と対等の違いについては、僕の考えには無かったので新鮮なぐらいでした。
以後、これをもっと厚く書くことはあるかもしれませんが、いいたいことはこれですので、もう書かない可能性もあるのであしからず。
やっぱり、似たようなこと考える人はいるんですねぇ。


このことにも絡んでくるので少し合理性というものに最後に触れておきます。
学割の合理性に疑問があるとのことですが、僕はこう思います。
合理性の「理」とは、いったいなんのでしょうか?
誰しもが認めるような理論、普通は納得するような理屈、なんらかしらの正当性をもつ理由、単なる理由*4といったような理には段階が存在します。

僕は上記で、男女差別について、「ある意味合理的」という表現を使いましたが、それは「なんらかしらの正当性をもつ理由」という意味で「理」を使っています。
正当性というと誤解を与えてしまうかもしれませんので、「一応もっともらしい理由」と、「理」の確かさを下げるべきでしょうか。

さて、本来的には「理」はより強固な意味で使うべきなのでしょうが、普遍の真理など、一般人にはなかなか探りだせない以上、やはり妥協せざるを得ないと思うのです。
やっぱり、「なんらかしらの正当性をもつ理由」を「理」とし、合理と合理が対立する場合は「なんらかしらの正当性」同士を比較して、どちらがより正当かを比べていくしかないことが、全知ならぬ人の限界でしょうか。


話は学割に移りまして、やはり学割の合理とはレディースデイの導入理由と同様の、客層の拡大であると思われます。*5
そういう意味ではやはり、「理」があるといえるのではないでしょうか。
ただし、それが他の理と対立しないとはいいません。
このあたりが、議論の難しさであり、醍醐味であるのでしょう。


  • munyuuさんへ

いったん書いたのに全部消えた・・・・記憶を頼りにも一回書きます。

レディースデイのメインターゲットが専業主婦層であることはおっしゃるとおりでしょう。
レディースデイは映画館だけではないですし、水曜日に限らず、様々な曜日があります。月から金はレディースデイというのも見たことがありますが、やはり、一般の利用が少ない平日を主に指定していることからみても、平日暇な人、おそらく学生と主婦がターゲットなのでしょう。


しかし、女性にも気軽に楽しんでもらおうという狙いと、客層を主婦層に広げようとするは表裏の関係にあると思います。

より多くの客により満足してもらおうというサービスの向上とそれによって利益を得ようという考えは表裏一体にして、サービス業の根幹です。
そのため、レディースデイによって女性にも気軽に楽しんでもらおうというのは、企業からみた、女性客への視線の捕らえ方、レディースデイによって新たな女性の客層を得て、それによって市場拡大し利益を得ようとする戦術*6は、企業から企業自身への視線の捕らえ方というだけだと思います。
バーゲンセールなどが、利益追求とサービス向上の表裏関係のいい例なのではないでしょうか。


また、
>>専業主婦は夫の稼ぎを自由に消費することが可能でした。
ということですが
家計を妻が管理するというのは、最近増えた共働きの夫婦の家計等の一部の例外を除けば、「珍しいことではなかったでしょう。男は外、女は内」という男女差別からくる男女役割分担であったともいえ、その意味では専業主婦は夫の稼ぎを自由に消費できる、といえます。

しかし、日本のサラリーマンはそんなに給料がよくないのです。日本は長らく不景気でした。現在でさえ、まだ脱出しきっていないという考えも根強いです。
そんな一般サラリーマンの給料から、生活費、教育費、ローン、夫の小遣いを除けば、妻が現実に自由に消費できる金額などそうたいしたものではなかったでしょう。



レディースデイというものがいったいいつ発祥したのかはわかりませんが、そんなに昔のことではないと思います。
バブル崩壊後の日本が不況で、消費が停滞して苦しんでいた時期なのではないでしょうか?

バブル景気期は、インフレともあいまって「高いというのはいいことだ」ような風潮がありました。不動産や株以外の価格までも急激に上昇したわけではないですが、それでも好景気で、物価が上昇し、給料も上昇し、それでも企業が利益を上げてた時代に、あえて価格を下げるサービスを行おうとしたとは思いづらいからです。
あの時代は消費加熱していて、高級品のほうが売れたそうですから。
あくまでも推測ですが、レディースデイを作るよりは、サービス自身の内容を向上させたのではないでしょうか?
もしかしたら、バブル期だからこそ、あえてより安価なサービスを考案する優れた企業もあったのかもしれません。それをバブル崩壊後、他の企業がこれはいいと真似しだしたのかもしれませんが、そのような場合であっても、レディースデイがバブル中に広まったとは考えづらいでしょう。


バブル前にあったのではないか、それがいったんバブルで下火になっていたのではないかということも考えられますが、日本は1973年から安定成長期に入っていて、バブルが崩壊するまでは好景気が続いていました。
よって、バブルほどではないにせよ、サービスの価格を下げる方向に活発に動いていたとは考えにくいです。


さらに、その前の1973年以前は、主婦層をターゲティングするサービス業というのが果たしてどれぐらい存在していたのかが疑問です。サービス内容を婦人向けにするのではなく、価格を下げることでターゲティングするというのがあったのでしょうか。まだまだ男尊女卑の時代に。
また、1965年から1970年まではいざなぎ景気でやっぱり好景気であったことを付け加えておきます。


金銭に余裕がある女性で、そのサービスに興味がある人は、とっくに一般料金で利用していると思われます*7
よって
「そのサービスに興味はあるんだけど、家計を考えるとちょっと・・・ごくたまに余裕のある時しかいけない」という女性が「レディースデイで安くなったからいってみるか」と考える場合のほうが、「金はあるんだけど、使い方どうしよう」という女性が「レディースデイで安いから、興味の無かったサービスに興味がでた」場合よりも多いと考えられます。
加えて、お金に余裕のある女性は、安さよりもサービス自体の質を重視されると思います*8しね。


したがって、やはり企業の側も、「お金と暇をもてあます女性」よりも「暇はあるが、お金にそんなに余裕のない女性」の客層をメインターゲットにすえたのではないでしょうか。母集団としても相当違いがあると思いますよ。


以上より、やはりレディースデイは「女性は金銭的に余裕がすくないから」という考えの下に導入された制度だと僕は考えます。
いかがでしょうか。



うーん。なんかいくつか書いたことが抜け落ちているようなきがするなぁ・・・・

しかし、こんなに大量に書いたのは久しぶりで疲れました・・・・

*1:実際は違うケースもかなりありますが

*2:正確には判決すべてが判例になるわけではありません。また、最高裁のもののみを判例とよび、それ以外は裁判例ということもあります

*3:いまなら地裁も

*4:屁理屈のようなものも含めて

*5:詳しくは下記のmunyuuさんへのコメントを参照してください。

*6:というよりむしろ戦略でしょうか

*7:主婦ではなくて、女性としているため、あくまでも余暇の範囲内での利用ですが、暇はレディースデイ導入で増えるわけではないので。

*8:TOHOシネマズ 六本木ヒルズにもレディースデイはあるんですけどね。