解けない問題

取得条項付株式を取得して、対価に新規発行した社債を交付したら、分配可能額を超過してしまった場合に
発行した社債はどうやって取り扱われるのか?


という問題にぶち当たって、ぜんぜんわかりません。
分配可能額を超えた自己株式取得(剰余金の処分行為)が無効となるかについては争いがありますが
少なくとも取得請求権付株式の取得と、取得条項付株式の取得については無効になるとされているわけです。
前者は会社法166条1項ただし書により、後者は170条5項により。


それで、取得が無効になった時に、社債が対価として交付されている場合の社債は果たして有効なのか無効なのか、という問題がありまして*1
それで社債には株式の新株発行無効の訴え(828条1項2号:形成訴訟)のような規定がないので*2、当然無効として民事訴訟としての無効確認訴訟*3によることになるのではないか、とされるわけですが
問題なのは、無効事由がなんなのか、ということなわけです。


社債に関しては、株式同様取引の安全の観点から、その無効事由は制限されて考えられるとされるらしいのです。
その上、社債に関しては払込みが完了することが必ずしも成立要件になっていないという特殊事情がありまして・・・・
そもそも社債とは民法上の契約による債権債務関係の特殊系に過ぎないとされるわけでして・・・・


どーなんでしょう!!!

*1:株式対価の場合には分配可能額が問題とならないから、この問題は生じない。

*2:ちなみに株主総会決議の取消し等の訴え(831条)と違って、取締役会決議の瑕疵を争う訴えも規定がないですから、取消や無効の訴えによらず、法令定款違反がある場合は当然無効として解するのが通常のようです。従って無効確認訴訟になるわけです。

*3:無効の訴えが形成訴訟とされ、将来に向かって効力を発する(839条、834条2号)とされるのに対して、無効確認の訴えは確認訴訟であり、当初から無効であることになります。