今日の疑問は民事訴訟法なのに会社法

取引の価格が安かったから会社に損害を与えたと
会社法423条1項に基づいて取締役の忠実義務(会社法355条)違反による損害賠償を株主がしたとします。


423条1項は

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

という文言ですので
すると請求原因*1

  1. 任務懈怠
  2. 損害の発生
  3. 任務懈怠と損害の間の因果関係
  4. 帰責事由(故意・過失)


となるわけです。


ここで任務懈怠があったかどうかについて経営判断に間違いはなかったという反論を取締役がまず間違いなくします。
ここでこの反論の法的性質が意味わかりません。
まずこの経営判断に誤りがなかったという主張が成立した場合
これは1.任務懈怠はなかったと請求原因の一を阻却するのか
それとも2.任務懈怠はあったがそれについて過失はなかったと請求原因の四を阻却するのか
それとも3.どっちにも関係するのかが不明です。
また、仮に1.つまり、経営判断の誤りがないことが任務懈怠の有無に影響するとすると、任務懈怠には行為過失が入ることになって故意・過失と任務懈怠を別の請求原因に分ける意味が感じられません。


また1.をとったとして、経営判断に誤りがない旨の主張は積極否認なのか抗弁なのかも不明です。
積極否認だとすると、原告株主は、被告取締役に経営判断に誤りがあったことを主張・立証しなければならなくなり
逆に、抗弁だとすると、任務懈怠があっても経営判断に誤りがないことを立証できればいいことになりますが、
積極否認だとすると、任務懈怠は行為責任であるということになります。*2
抗弁説を採ると、任務懈怠があっても経営判断に誤りがなければ責任を問われない理由が
任務懈怠を結果責任と捉え、経営判断の誤りを行為責任と考えて、行為責任の帰責事由つまり過失を阻却する以外には理由が思いつかないので、結局これは2説になるわけです。
すると、請求原因1の任務懈怠は結果責任、請求原因4の帰責事由は行為責任という分類になるわけですが、これは正しいのでしょうかとぐるぐるぐるぐる。
質問してもよくわからなかったし。


結局両方に影響を与えると考えると簡単だがそれでいいのかと。
そもそも任務懈怠には、不適切な指示や、指揮監督義務違反などもあるから経営判断だけではきまるわけではないし、過失もそうだから、あくまでも阻却の一考慮要素になるという程度なのか。
参考文献ないかなぁ。
頭痛いので*3あまりまとまってませんが、ここでいったん中断します。

*1:訴訟物は取締役の忠実義務違反に基づく損害賠償請求

*2:結果責任は損害の発生と因果関係で追及するのでしょうか?

*3:これは比喩じゃなくてまじで調子わるい