説々
帰りの電車ん中でなんとなく考えていた。
三角ロジック論
三角ロジックに関してDIS界にはいくつかの説があると思う。
1.必要説(要請悦)→某大学など。関西系に多い気がする。
ロジックを検証するためには三角ロジックが必要不可欠であるため、必ず三角ロジックを用いるべしという説。
2.不必要説
三角ロジックは必ずしもなければならない、というわけではないという説。
三角ロジックの使用する場合の捉え方においてさらに二つに分かれる。
a)積極的認容説(便益説)→みな意識してないけど通説だと思う。
三角ロジックはロジック(リーズニング)を考えるための指針になる上、論点整理、話し合う論点の順番付けなど、ロジック検証のために便利であるから、あるいは三角ロジックを用いないとアイデアが理解できない人、あるいは三角ロジックを用いないと納得しない人が存在するため、使っていこう、という説。
b)消極的許容説(誤用禁止説)→俺のとる説
ロジックを正しく使えている*1かぎりでは、あえて禁止すべきとまではいえないので使ってもかまわない、という説。
3.不要説(否定説)→伝統的WESAのDISのスタイル
三角ロジックは害悪であるため、使うべきでない、という説。
具体的な害悪とは、
- わずか3つに論点を限定してしまうために、個別の論点に当てはまらない反論などの検証がうまくいかない。
- 三角形になっていればロジックが立っている、という誤解を与えて正確な検証を妨害する。
- きちんとした三角ロジックを理解している人が少ないうえ、それを伝える人はもっと少ないため、正確に使えるものがほとんどいず、なおさらアイデアが歪む。
- All Cutや甚大なDAなどの複雑ロジックなロジックが必要なアイデアもわずか3センテンスであらわそうとするため、ロジック(リーズニング)が非常に荒くなってしまう。
- 3センテンスに無理やり当てはめようとして、高度な、あるいは自由なアイデアの発想を妨害する。
等。
個人的には、三角ロジックの持つ数々の害悪を考慮するに、やはりWESAにおける伝統的通説を採るべきだと思うが、実際に間違った用法でないならば、禁止するべしとまではいえないと思われるので、消極的許容説を採りたいと思う。
三角ロジックを使おうと思っている人は、このことについて一考をしていただきたい。
参考
正しいロジックとは
DISで三角ロジック(もどき)をみていると、単なるフロー(リンクの流れ)を三角形であらわしている場合が多く、三角である必要性がない。
本来の三角ロジックは論理学者のもの。すなわち伝統的論理学における推理論の基本である、間接推理の典型たる三段論法による演繹的証明に他ならない。
すなわち、概略を述べると、小項辞をA、媒項辞をB、大項辞をCとして
大前提たるB⊆Cに小前提A∈Bを当てはめることによって命題A∈Cを証明する、というものである。*2
すなわち
A∈C∵A∈B∧B⊆Cというものである。
これを三角で書くと
1)
A∈C(結論)
>B⊆C(大前提=すなわち普遍的あるいは一般的な理論、事実が主) |
A∈B(小前提=具体的かつ個別な事象が主)
となるだろう。
あるいは、
claim(主張)
>warrant(正当な理由、根拠) |
data(基礎情報、基礎資料)
という語句の意味に忠実に従えば
2)
A∈C
>A∈B⊆C |
A
ともかけるだろう。
すなわち、1)では基礎情報を目の前の具体的個別的事象たる小前提A∈Bにおき、正当な根拠を普遍的理論たる大前提B⊆Cにおいているのに対し、
2)では基礎情報をAという単一の事情におき、正当な根拠を∈B⊆Cという属・包含の理論においているのである。
1)のほうがより正確に三段論法に基づいている、といえるが、現在のDIS界では、三角ロジックの使用法を間違えていない場合でも、2)の様になっていることが少なくないことを揚げておく。
最後の項目として誤用について
一番多い誤用(ただしSeriousnessのReasonの部分のみ。それ以外は参考の最初の分のような誤用が多い。)は小前提の説明、立証が不十分であるもの。
すなわち
A∈C
>B⊆C |
A∈?B
極端には
A∈C
>B⊆C |
A
というものである。
三段論法は、小前提の立証、大前提の立証、そして小前提が大前提に当てはまることを示して(本来は小前提と大前提が立証できれば自明であるが)初めて結論の立証がなるということを忘れてはならない。
小前提と大前提、どちらの立証がかけても結論の証明は不十分になってしまう。
三段論法について、より厳密に知りたいものは下記を参照すること。
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~shimizu/medieval/logic/syllog.html